今年の夏を振り返って

報告清水 為一

 平成24年の夏は、記録的な暑さになりました。特に8月下旬から9月は過去に例を見ないほどの高温で、北海道内各地で暑さの記録を更新しました。恵庭でも昭和51年の観測開始以来最も暑い夏となりました。

 上のグラフは、恵庭の今年の夏(6~9月)の気温を表しています。中央のなだらかな曲線は日平均気温の平年値(過去30年を平均)です。それを挟んで上が平年より高く(ハッチ部分)、下は低い事を示しています。期間を通じて高く、特に8月下旬(20日頃)から9月一杯、とても高くなっています。

また、一番上の細い線は、日最高気温です。最も高かったのは、7月28日ですが、今年の真夏日(日最高気温30度以上)は8日と平年の3倍(平年3.2日)近く、夏日(日最高気温25度以上)は、8月が23日(平年15.4日)、9月が16日(平年4.0日)とこれも多くなっています。また、日最低気温でみると9月上旬が18.9度、中旬が18.7度とそれぞれ平年より5度と7.5度高くなりました。この最低気温は東京の6月の梅雨の時期に相当する値です。

 このように暑かった原因ですが、偏西風の流れが日本付近で大きく蛇行したため、日本の東海上から西日本にかけて太平洋高気圧が強く、黄海付近が気圧の谷となりました。この様な気圧配置が長く続いたことから、北海道付近には南から暖かく湿った空気が入りやすい状態が続いたわけです。

  最低気温が高く、寝苦しかった記憶があると思いますが、太平洋高気圧の影響を強く受けたため、恵庭でも本州のような蒸し暑い夏となりました。

 この偏西風が蛇行した原因として、"地球温暖化の影響が高緯度地方で大きく現れ、赤道付近との温度差が小さくなってきているため"と指摘する学者もいます。

 偏西風は、北極や南極と赤道付近との温度差を解消する地球規模の大気の循環の一つですが、温度差が小さくなると偏西風の勢いが弱まり、蛇行しやすくなります。地球温暖化の影響だとすると今後も同じような状態が現れやすくなるのでは?と心配されます。

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